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自分らしい「働き方」を見つけた人たちへのインタビュー

Talks #001 /

クロスカルチャーなバックグラウンドが、面白い発想を生む。

btrax : Brandon K. HIll

btrax : Brandon K. HIll

PROFILE

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PROFILE

■btrax社とは

サンフランシスコ・シリコンバレーを拠点に日・米・中国市場向けwebサイトデザイン/ブランディング/マーケティングを行うコンサルティング会社。 国際的なwebエキスパートとして、日本とアメリカを繋ぐ架け橋を担っている。 また、サンフランシスコにて日本発のスタートアップを地元オーディエンスに紹介する、SF New Tech Japan Nightも主催。

btrax:http://www.btrax.com/jp

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btrax社 CEO。北海道出身の日米ハーフ。日本の高校を卒業後にサンフランシスコに渡米。サンフランシスコ州立大学卒業後、btraxを設立。現在では日本とアメリカを繋ぐグローバル起業として唯一無二の存在であるbtrax社。そんなbtrax社のCEOであるブランドンさんの経営者視点から見た働き方についての考え方をご紹介します。

 

好きなことを仕事にしてるので、モチベーションは放っておいても高い。

ーご自身の働き方を振り返ってみて、ブランドンさんならではの考え方を教えてください。

ブランドンさん(以下,敬称略) 僕は経営者なのでやはり働き方もそこからの目線で考えますが、まず僕自身の考えとスタッフに与えている労働環境には大きなギャップがあると思っています。僕自身の仕事に対するのめり込み方、仕事で犠牲にしているものって実はとても大きい。でもスタッフは違いますよね。会社のオーナーとスタッフではやはり違うと思っています。僕の仕事における考え方として、会社の労働環境を良くするために自分を犠牲にするのは良いと思っているんです。なので、自分自身のコミットメント量はすごく多いですね。

ー働くことに対して経営者とスタッフで違いがあるとのことですが、具体的にはどういう違いがありますか?

ブランドン 昨日、インターンの子に「モチベーションを上げる方法は何ですか?」と聞かれたんです。僕自身は、モチベーションをどうやって上げるかなんて考えたことがなかった。でも答えるなら、好きなことを最初から仕事にしているので基本的なモチベーションは放っておいても高い、ということです。やりたいことをやって、達成したいことを達成するために自分の会社を始めたので、今更モチベーションについて考えることってないんです。

それで、よくよく考えたら、結論的にはお金じゃないよねって話をしてて。やることが楽しくなかったら仕事だとしても本当に全然できない。

楽しいってうのは、たとえば僕はもともとデザイナーだったからデザインをすることはとても好きで、デザインの仕事はほっといてもモチベーションは高くて、楽しくて仕方がなかった。それと同じで、この会社は自分のやりたいことを仕事にした会社なので、どんな面倒なことでも会社のためだったら苦がなくやれる。それって別に会社のオーナーだからの考えではなく、どんな人でも自分が楽しいと思う要素が見つかれば、やると思うんです。やりたいことが見つかればどんな面倒なことでもそのためだと思ったら面白いと思いますね。

情熱なくしては、いい仕事は出来ない。

ーbtraxさんはアメリカの企業ですが、日本に会社の知名度を広げていきたいという考えは最初からありましたか?

ブランドン 一年半前、btraxは日本では全然知られていなかったんですね。クライアントもアメリカの企業ばかりでしたし。それでもちょこちょこ日本からインターンを採用したり、日本のスタートアップ界隈から紹介されたりする中で、ちょっとずつ知名度が上がっていきました。でも日本に帰ると全く相手にされなくて、それがとても悔しくて、日本向けに露出を増やしたりしてどんどん仕掛けていった。どうにか世の中の人に知ってもらおうとしたんです。それって若干、怒りから来てるものもあります。笑

ー怒りがモチベーションになるということですか?

ブランドン ある本を読んでいたら、こういうことが書いてあったんです。情熱なくしてはいい仕事は出来ないし、モチベーションも上がらないし、仕事に対して楽しいアプローチは出来ない、と。情熱って2つの要素から出来ていて、それは何かというと、その物事に対する「愛情」と「怒り」。情熱は愛情と怒りっていうパワーがあって生成される。本当にそうだなと思った。愛情だけだとやんわりやわらかく包み込む感じで突き進むエネルギーは生まれない。でもそこに、負けてたまるかっていう怒りが入ることで、前に突き進める。怒りって、意外と重要なんですよ。学生の頃からその考えはずっと変わってないです。僕は中高は日本で生活していて、高校生のときは落ちこぼれだった。アメリカに来た理由も父親がアメリカ人っていうのもあるんだけど、もともと日本の大学に行く予定だったんです。でも、受験で受からなくて。それでアメリカだったら大学受験ないから来たって感じで。とても悔しかった。だから僕がこの会社を大きくして、日本の大学とか入れなくたってある程度のレベルのとこで戦えるようになるっていうのを見せたい。日本の人たちに対して、受験に受かって良い大学に入ったから人生順風なのかって、そこは違うよってことを身を以て示したいと思っています。

 

サンフランシスコには、他の街では採用できない人を採用できるチャンスがたくさんある。

ーやりたいことが楽しいと思える環境じゃないと社員の皆さんも続かないですよね。いま、社員に何を提供していますか?

ブランドン つまらない環境をつくらないことです。うちはデザイナーが多いから、仕事の環境がエキサイティングで楽しくないとつまらないと思う。また、結果に対しては厳しいけど、方法論は自由。結果さえ出れば、オフィスに来なくてもいいよ、みたいな。結果重視で、プロセスは好きにしていいというスタンスですね。

それから、いろんなバックグラウンドの人を採用するようにしています。採用の最低条件は、「複数のバックグラウンドを持っていること」。例えば、アメリカで生まれてアメリカでしか生活したことない人は採用しない。海外生活があるとか、クロスカルチャーなバックグラウンドがないと厳しいと考えています。そのため、スタッフほぼバイリンガルです。英語+中国語とか。そうじゃないと、広い視野でおもしろい考えが出来なくなってしまうと思うんです。

ー島国である日本人にはなかなか厳しい話ですね。

ブランドン まったくその通りで、日本の会社は国際競争力で言うと圧倒的に不利ですよ。同一民族の集まりなので、ダイナミックな発想などが生まれなくなる。海外に進出したいと考えている日本人は、その点に関しては焦ったほうが良いと思います。

ーサンフランシスコを拠点にした理由は何ですか?

ブランドン それを答えるのは大変だなー。笑 実は、思いつきでサンフランシスコに来てしまったから。日本の高校を卒業して、父親が東海岸出身だったから東の方には行きたくなくて、サンフランシスコに何も考えずに来たという感じでした。だからサンフランシスコじゃないとけないというこだわりは持っていなかった。偶然来てみたものの、良いところがたくさんあったので、ここから離れる気もなくなった。

ー離れる気がなくなった理由はなんですか?

ブランドン アジア系やアメリカ系などいろんな人種が豊富で、変わった考え方を評価している街だから。アメリカの中でもかなりリベラルな街だと思う。それゆえに、面白い人を発掘しやすい。他の街では採用できない人を採用できるチャンスがたくさんあるんです。

それから生活面でいうと、信じられないくらい気候がいい。1年を通して湿気が低くて、夏もそんなに暑くありません。そうなると、仕事をガンガンストイックにやっても週末ちょっと外に出れば青い空と海が広がってて、それを見るだけでも心が晴れる。日本に行くと、そこがダメ・・。笑 空がどんよりしてて、空気も曇っててじめじめしてる。それにぎゅうぎゅうの満員電車で通勤なんて、それだけの要素でもう圧倒的に不利。それがあるなしで、心の環境は全然違うんじゃないかな?

ー逆に、サンフランシスコで働くデメリットはありますか?

ブランドン この街でつまらないと思うのは、自然以外の遊びがない。具体的に言うと、お酒は深夜2時以降飲めません。バーも開かないですし、コンビニのお酒売り場も閉まっちゃって買えなくなるんです。それくらい法律が厳しいですね。どこでもドアがあったら、昼はアメリカ、夜は東京に行きたい。笑

それからデザインでいうと、アメリカのデザインは本当にひどい。日本に行って楽しいのは、コンビニに売っているようなペットボトルのデザインひとつ取っても、本当に上手い。日本のパッケージはとても洗練されているし、日本人のデザイナーは世界的にみてもレベルが高いと思います。アメリカはいろんなことがださすぎ。逆に言うと、ださくないと売れないんです。逆にこ洒落ると「よくわかんない」ってなっちゃうらしい。笑

固定概念に捕われないで、型破りなことをやったほうがいい。そうじゃないと、他の人がすぐにやるから。

ーサンフランシスコで活躍するにはどんな人が良いですか?

ブランドンさん03ブランドン 顕著にあります。こっちで活躍している日本人の人と会うと、大体パターンがあります。
まずざっくり言うと、日本だと変人扱いされる人。メインストリームじゃない、おかしい人と呼ばれる人。そういう人がサンフランシスコに来ると花開いたりする。
あとは、物事を自分のペースで捉えられる人。アメリカって、結構テキトーな点がすごく多くて、押したらそれが成り立つみたいなことがある。言ったもん勝ちみたいなところがあって。でも日本だと、ルールの壁がすごく高い。決まり事だから、ダメなものはダメみたいな。アメリカだったら担当者の権限で通ることも多いのに、その点で考えるとアメリカは人とのインタラクションに幅がありますね。

ーアメリカ人と日本人の働き方の違いについて、具体的なエピソードはありますか?

ブランドン 営業っていう立場で考えると、日本人はプロセスを大切にして形式通りに進めることを一番に考えて相手に失礼のないように仕事しますけど、アメリカだともっと自由でルールがない。たとえば大企業のソフトバンクと仕事したい場合でも、アメリカの営業に「どうすればいい?」って相談すると、「孫に直接話せばいいじゃない?」って言うんです。facebookだったら「マーク・ザッカーバーグに。」とか。日本人からすると驚きかもしれないですが、逆にアメリカってそうじゃないとダメなんです。アメリカではそれでいけたりするんです。「そんな・・」って思うかもしれないけど、うまいことやれば必ず出来る。固定概念に捕われないで、型破りなことをやったほうがいい。そうしないと他の人がやるから、かなり強引に押し進めないと全く勝てないですよ。

ーなるほど。そのくらい強い意思を持っていないとアメリカで起業を考えている日本人は厳しいということですね。

ブランドン 日本からアメリカで起業しようと考えたときに、いろんなサイトなどで情報を探すと「こういうハードルがあります」とか「こういうことをやるべき」とか出てきますよね。たとえば「資本金は2千万円必要です」とか「英語はネイティブレベルじゃないとダメです」とか。僕、それ全く必要ないと思っています。セオリーなんかどうでもいいって思ってるタイプ。まぁ起業するにあたって98%は2千万の資本金が必要かもしれないけど、僕の場合は50万円だったからね。笑 そんな僕でも成功してるので、残り2%に賭けてもいいんじゃないの?って思ってしまう。
日本人は律儀だから「英会話スクール行ってお金貯めて3年後に・・」とかやっちゃうけど、それだと他の国の人に勝てないですよ。アメリカは移民を受け入れて発展した国だから、いろんな価値観で溢れているし、日本のやり方は全部捨てたほうが良い。何かしら型破りなやり方が出来る人じゃないと、無理でしょうね。

ー仕事に対するアプローチの仕方にも違いなどあったりしますか?

ブランドン 日本人の場合、どれだけ上司に迷惑をかけず、自分レベルで物事を解決するのが仕事だと思っている。アメリカ人は気づいた点、不満点を全部上司に渡して、解決させるのが仕事だと思っている。この違いはありますね。
だからアメリカ人スタッフと日本人スタッフとの接し方にも違いを出さなきゃいけなくて、アメリカ人は放っといても色々言ってくるけど、日本人はこちらから聞いてあげないと言ってこない。そこは気をつけないといけないとは思っています。でも僕はこの会社をアメリカ式にしたいので、日本人のスタッフもどんどん意見を主張してもらえるようになってほしい。

ーということは、日本の会社が日本人だけのメンバーでこっちにきても厳しいということでしょうか?

ブランドン それは一番厳しいと思います。ものづくりに関しては日本人はすごく良いですけど、組織とかリーダーシップとかマーケティングとかパートナーシップなどのビジネスデベロップメントの面においてはアメリカと温度差があります。しかも、現地人を採用しようと思ってもマネジメントが日本人的考え方だったらうまくいかないと思うんですよね。アメリカ人にとっては働きにくいでしょうし。だからこそ、クロスカルチャーって大事で、いろんな国の人のいろんな価値観に触れて働くことが重要になってきますね。

 

ー最後に、btrax社は積極的に日本からのインターンを受け入れていると思いますが、働くことについて悩んでいる就職活動をしている学生の方々に一言いただけますか?

 就職活動って、いらなくない?と思うんですよ。たくさんの会社にエントリーシート書いて面接受けに言って・・というやり方。本当にその会社で働きたかったら、何らかの方法で直接アポを取って「働かせてください」って言いに行ったりするべき。
他の人と同一線上に自分を置いて、同じようなエントリーシート書いて、他の人と同じような給料形態で、他の人と同じことをする・・って、その時点で負けてない?と思わないと。
自分は人よりとてもユニークで、こういうことやってるって、紙では見せられない自分の魅力を伝えて、他の人にはできないポジションと給料形態にしてくれって伝えて、自分専用の役職を獲得して、他の人には出来なかった価値を会社に対して提供してってやっていけばよくない?って思いますね。
日本は型にはめたがるから、ソーシャルリクルーティングって枠ができてるけど、それを打破できないと今後は厳しいですよ。ぜひ、優等生ではなく、ガキ大将のような自由な考え方も身につけて、自分の可能性を広げていってください!

 

(2011.11 btrax社にて収録。聞き手:SCHEMA シレン)

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